那谷寺の 石段伝い 陶片の道 辿り行く 九谷の絵付け 散りばめたよう 星が瞬く 月の下 お旅まいり 石灯籠に 残る火影が 揺らめいて 誰も通らぬ 参道には 夜風が奏で 過ぎてく 木場潟べり 芦の葉音 千枚の鏡 砕けては 月を写した 水面越し 時が流れて ゆくよう 粟津温泉 湯煙の中 人形たちの 影芝居 窓辺に灯る 行燈には 百年前の 夢が宿り 古びた硝子 磨かれては 思い出たちを 映し出し 誰が遺した しぐさなのか 指先だけが 覚えてる 焼き物たちの 眠る窯場 炎の跡を なぞるよう 記憶の色を 重ねては 新しい夜 描いてく 白山遠く 仰ぎ見る 絵付師たちの 想いめく 空の青さに 溶け込んでは 明日の色を 探してる 星降る夜の この街には まだ見ぬ色が 隠れてて 誰かの手で 描かれてく 夜明けの絵皿 待ってる