宝達山の麓 夕暮れに 一の宮から 鐘が鳴る 山の稜線 なぞるように 空を渡る 鳥の群れ 誰にも見えない 場所まで 想いを乗せて 飛んでゆく 宝達緑地公園 木陰で 記憶を数える 一人きり 誰かの足音 耳をすませ 振り返っては また歩く 押上の里山 小径には 蒼い月影 こぼれ落ち 田んぼの水面 揺らめいて 夜空を写す 鏡みたい そっと触れれば 消えてゆく 儚い景色 抱きしめて 稲穂の香りが 揺れている 秋の気配を 運んでは 目を閉じるたび 浮かんでく 遠い日々との 約束が 虫の声さえ 遠のいて 薄紫の 闇の中 明日は違う 私でも 今は静かに 佇んで