富来漁港 堤防で 帆影数える 西の空 海霧たなびく 夕闇に 漁火が見えた 消えていく 過ぎ去る季節の 音がして 胸の奥まで 澄んでゆく 長手島公園 散歩道 石畳濡らす 霧雨が 思い出たちを さらってく 誰もいないから 泣いてみた 志賀の郷倉庫 赤レンガ 古い窓辺に 影映し 記憶の欠片 紡ぎだす 私だけの フィルムのよう 一枚一枚 めくるたび 懐かしさだけ 残される 潮騒の音が 変わってく 暗い波間に 映る月 何度も何度も 繰り返す 寄せては返す 心象を 埠頭の灯りが 遠くなり 今日も終わりへ 近づいて 違う私へと 変わる前 もう少しだけ 歩いてく