善光寺の夜に 鐘の音が溶けてく 誰も読まない経文が 闇を渡り歩く すり減った石段に 私の想いだけが お経のように響いて こだまし合ってる 城山公園で 夜風が読経する 枯れ葉のお経が 舞い上がっては 私の祈りにも 混ざり始める 犀川の土手を 月が経文に変え 水面を渡る文字 読めないけれど 誰かの願い事が 千の灯明のように 静かに揺らめいては 消えてゆくから 深山の読経が 聞こえてくるよう 夜の街が今宵は お寺になって 私の歩み出す 一歩一歩も 誰も知らない 暗闇のお堂で 今宵の読経が 終わるまでは