Track by夜散歩娘
臥竜公園で 枯れた果樹の枝が 月を熟れた実に 見立てている 秋の終わりまで 待ち続けた甘さが 今宵の闇の中 溶けてゆくよ 百々川緑地の 木立が震える度 落ちそうで落ちない 記憶の実が 私の心にも 重く垂れ下がる 八町の坂道 街灯が実をつけ 熟すのを待たずに こぼれ落ちてく 拾い集めても 味わえないまま 明日の朝には 消えてしまう 果樹園の闇が 甘い香りだけを 残して朽ちてく 木々の間から 私の想いだけ 実らないままで 収穫を終えた 果樹園の夜に また新しい芽が 膨らみ始める