Track by夜散歩娘
薄絹を纏う 寒暖計の針 飯山城址に 浮かぶ三日月 朧な闇から こぼれ落ちてく 数珠玉みたい 街の明かり 指先で摘む ショールの端に 千曲川べり 風の断片 藍に滲んだ 誰かの影が 水面で踊る オルゴール 雁木通りの 石畳みには すり切れかけた 冬の足跡 日和山から 眺める街が 万華鏡の 中で眠る 羽子板の音 記憶の外へ こぼれ落ちては また拾って 誰も知らない 私だけの 秘密の地図を 描いている 雪解けの跡 掌の上で 温めながら 歩いてゆく ガラス細工の この街には 触れられないの もう少しだけ