万年筆から こぼれ落ちてく 青い月光 浸み込んでは 穂高神社の 白い石垣 水彩画めく 影を描く クロスステッチの 糸のように わさび田めぐる 水路たちが 編み上げていく ナイトパターン ムーンライトブルー かすれてく スクリプトの文字 読み解くように 早春賦の碑 たどりゆけば 誰も知らない 暗号になり 石の肌から 零れ落ちる フォトグラムの中 浮かび上がる 烏川べりの シルエットが ネガとポジを 反転させて 光学迷路 描いてる 顕像液の中 現像してく 記憶の色が 溶けだしては 暗室の中で 揺れている モノクロームの この時を