伊自良湖から 立ち昇る霧が 山あいの街 包み込み 椿の並木 青い闇の中 しずくを集め 光らせる モノレールの 休む駅舎には 夢を見ている 時刻表 誰も待たない プラットホームで バラが香りを こぼしてる 美山の森で 目覚めた風が 古い絵葉書 めくるよう 記憶の中の 色褪せた景色 今宵だけには 鮮やかに 伊自良川べり 綾取り遊び 編み上げてゆく 水の音 誰かが結んだ 祈りの形が 指の隙間を すり抜けて 満月寺の 鐘の音色に 眠りについた 路地裏で 忘れられない あの日の声が こだまするよう 響いてる 石油の街 黄昏時には 灯りが織りなす レースのよう 窓辺に映る 影絵のような 思い出たちの シルエット 明日の朝に 霧が晴れても この胸の中 残るのは 言葉にならぬ 歌のような 夜の魔法の メロディー