美濃史料館 漆喰の壁 うすもの透かす 月の影 障子に描かれた 時代の跡 千枚の想いが 重なって うだつの上げた 町並みには 提灯揺らす 秋の風 和紙のように 薄く儚く 記憶が舞って 降りてくる 長良川からの 風に乗って 紙漉き音が こだまする 誰かの祈りが しみ込んだか 水面(みなも)が光る 夜の底 美濃のギャラリー 窓の外で 影絵のような 月が昇る 千代紙めいた 空の下で 切り絵のような 夢を見る 夜明けの手紙 書き留めては また新しい 紙を漉く 次の物語 始まるまで このページだけ 開いたまま