ショーウィンドウに揺れる横顔 あの子を中心に世界が回ってて 私は 透明なまま 息してた 駅ビルの風が胸をかき回す 「元気そうだね」って言葉に 仮面の笑顔を貼ってた イヤホンから 遠い声 「大丈夫?」が 傷に触れて 言葉が心に追いつきそうだった 平気なフリのあとで こぼれた声を ひとり拾った 誰かに似せた私じゃなく 名前で呼ばれたかっただけ 隣の人が傘をずらしてくれて その一瞬 私の輪郭ができた 「ついで」ばかりの毎日でも ちゃんと見つけてもらえた気がした 黙ってても選ばれる人がいて 私は順番を待ってばかり 間違い探しみたいに 欠けたとこばかり見てた 平気なフリのあとで 感情がこぼれてしまった ちゃんと生きてるはずなのに 瞬きの一瞬に消えそうで 「強くなったね」って言葉より 弱いままでもいいって言葉が この世界のどこかにあるなら もう少しだけ ここに居たい
