塩素の匂いは覚えているのに あの子がくれた飴の味は忘れた 平気で嘘をつき始めたのは いつからだったろうか 誰かは許してくれるのだろうか いや誰も権利はないんだろうな わたしだけの筆ペンと 色のある血でまちを描いた くだらない夏休みでした それじゃあね、おやすみ 邂逅は今も望んでいるのに 景色は遠くへ離れていくように 誰しも故郷は覚えているのに あなたがくれたものは 何だったっけ 燦然たる日々の裏側で 恐ろしい化け物は私を嗤ってる 完全な性善を信じた あの頃に戻りたくて わたしだけ 街を眺めていた くだらない夏休みみたいな 幸せがほしかった だから 私だけの筆ペンと 色のない血で街を書いた くだらないあなた達の声は 忘れずに取っておきたいからさ 私まだここにいたいの 明日が怖いのでしょう 過ぎ去った愛しい過去たちよ 他愛ない散文の中で またいつか 塩素の匂いは覚えているけど あの子がくれた飴の味や 冗談みたいに明るい夕焼けと あなたがくれた記憶は 散文の中へ