我輩は猫である 名前はチビである 「拾った時、子供だったから」 実に安易な名前である 本当に人間って奴は 不可解な生き物なのである 毎日どこかに出掛けては 疲れ顔で座り込む始末 せめて家に居る時くらいは 寒くない様に傍に居てやろう もちろん、言うまでもないが 我輩が寒いわけでは無い それにしても人間って奴は 実にチョロい生き物でもある ちょっとお皿の前に立ってれば ハイハイとご飯をくれるのだ 稀に布団から出て来なくて ご飯が無い時もあるのだが そんな時は枕元に立ち 顔をガリっとすれば一発ニャ 帰りが遅い日は ちょっと寂しくなって カギの音で 玄関に猛ダッシュ キミの事なら なんだってわかるよ 大好きな日々が 終わらないように 今日もまたキミと夢を見る ある日御主人は部屋の外で 大声で何か言い争い 部屋に入るなり涙堪えて 我輩を撫で回し始めた 人間関係の事なんて 全くもって興味無いんだが 悲しい顔は見たくない なんなら恋人になってやろう 感謝なんてしてないし 独りで生きられるけど そんな顔は 見たくはないんだな キミの事なら なんだってわかるよ 大好きな日々が 終わらないように 今日もまたキミと夢を見る 最近、体が重くって 昔をよく思い出すのだ 寝惚けて尻尾を踏まれたこと 優しく撫でてくれたこと 耳も少し遠くなったけど 御主人の声ならすぐわかる そんなに呼ばなくたって 此処に居るから 此処に居るから 寂しい時は傍に居るよ 嬉しい時は撫でていいよ いつもみたいに笑ってよ 悲しい顔は見たくないよ あの日、曇り空の段ボール 「大丈夫」ってそっと撫でて 引っかき傷の手のひらで 抱きしめてくれたこと 本当は 本当は 嬉しかったんだ キミの事なら なんだってわかるよ 大好きな日々が 終わらないように 今日もまたキミの夢を見る 今日もまたキミの夢を見る