走り抜ける季節の後 いつの間にか重ねて 窓に映る優しい嘘3つほど抱えて あの部屋と同じ匂い 襟ぐりを少し締めた 南から吹く風に指先を合わせて ただなぞっている 塩味の暖かな その言葉を噛み締めているのです 枝の見える街路樹の 向こうにはガラスの色 坂を登る赤い星が頂上の先で光る 溢れている恥ずかしいこと 小さな庭に埋めて 萎びている想いを アルコールに沈めて 左から聞く声に口先を合わせて ただ眺めている 垂れ下がった半透明の幕が 許しあうように膨らんでいる 気づかないふりをして 鼻をすすれば新しい呼吸を 桜坂を越えたら広がるのは ガラスの色