遠くで鳴る鐘がやけに耳につくのは 過ぎ去った台風と冷えた風のせい? 抜け落ちている本の目次を 探しめくり 仕方のないことだと長い息を吐く さざめく 枯れ始めたススキが 湛える なんでもないような日を 瞼に乗った 悲しみと 薄く濁った 記憶の果て さらわれて削れていく はるか昔のこと 触れてみた腫れ物が鈍く熱を持つ 整えた暮らしの端に潜む不安に くぐもって聞こえない声が 零れていく 憚る 呼び起こした苦味が 湛える なんでもないような日に 重ねて折った 愛しさと 確かにあった 記憶の果て 瞼に乗った 悲しみと 薄く濁った 記憶の果て