湯畑の上を 白い霧包み 硫黄の香りが 月を溶かして 石の階段 しみ込んでゆく 温もりの中 記憶が眠る 白根山からの 風が運んで 地底の声を 届けてくる 西の河原で せせらぎに乗った 光の粒が 青く染まって 流れてゆく 温泉街には 明かりが点り 石畳伝う 湯けむりの列 鈴を鳴らして 下駄の音する 誰かの足跡 消えかかる 地球の鼓動 聴こえる夜に 千年の時を 数えながら 大地は今日も 歌を歌う 西の河原で せせらぎに乗った 光の粒が 青く染まって 流れてゆく 大地の底で 眠る熱さえ やさしく溶かす 夜の闇
