迷子の魚が打ち上げられて 足もないのに立とうとして 崩れる度 駄目な自分を責めた 通りすがりの彼女が言った 大丈夫、私が支えるから と 自分の足で歩けるまで側にいるよ と 立ち上がっては倒れて 同じ場所 追い詰められた魚 怒り狂えば 彼女は去って もう届かない言葉が空を 彷徨っても答えはなく 立つことを諦めた魚は 横たわり 崩れたまま 目を閉じた 捉われるのはもうやめた 迷子になるのは やめた 足なんて要らない 丘を泳ぎだす 一人きり沈んでく 海原へ 迷子の魚が押しつぶされて 暗闇の中で踊っている 照らされること諦めて 光りだした 潜るほど 息を吹き返す 深海魚