退屈な時間を目で追うような日々 季節を殺す術を僕らは見失った 算数の時間はどこか苦手だった 塾通いの生徒が手を挙げるから 教室には僕と僕以外の人が 頭の中で会話をして牛乳を撒き 散らした 愚痴をこぼす男子生徒 黒板を消す少女 纏めて全員 が季節に殺される 生きあぐねた僕らの 湿気に弱すぎる夏よ どこか遠い目をしていて でも確かに僕を捉えた 気づいていないみたいだ くしゃみ一つ 君が笑う 雲よりも高く風を待つ 背伸びしたまま木陰にいた 笑って 笑って すべて雨に溶けて消えていく 少し髪に癖がつく 蒸し暑い午後を言い訳にして 君の干していった洗濯物の 色が変わっていくのをただ見ていた くしゃみ一つ 黴のニオイ 虚しさに水を与えている 液晶の向こうで君を探す 泣いて 泣いて 雨が降り止んでいく くしゃみ一つ 面影を見る 薄弱な期待が 胸を刺す 失った希望と失った明日 さようなら、いつかまたね じゃあね! くしゃみ二つ 君が笑う それを見た僕が笑っている くしゃみ二つ 君が笑う そんな夢をずっと見ている