いつの間にか刺さっていた小さな トゲに 気付かないフリをした だってそうすればまた あなたの隣で笑っていられるから 剥がれ落ちてしまっていた壁紙も 何色か憶えていないな 記憶の片隅に置いてきた涙も痛みも 今は 汗ばむほどに陽射しを受け 影を探して走り回った もうあの頃には戻れないと 何も言えなかったあの子が言う それは暑い暑い夏の日 遠ざかる背中を見送った 透明な声が消えてく いつの間にか映りこんだ小さな闇が 話しかけてくるんだ 耳を塞ぎたくても出来ない ひたすらにもどかしいよ 何度も最後を繰り返して 忘れるなと言うんだね 分かってるよだからもういいよ 憂いは消えない 瞼の裏に焼き付いてて 手を伸ばしては零れ落ちる ぼんやりと写るネガのようで 何も掴めなかったあの子が笑う それは高い高い晴れの日 頬を伝い落ちる雫と 強がって手を振った間際の 小さな嘘をついた 「大丈夫だよ、じゃあまた」と もう戻れない重ねた季節 ずっと待ち続けていた 呪いの言葉を抱きしめて ねぇ いつまで待っても届かないの 胸に空いた穴を風が撫でる、幻 もうあの頃には戻れないよ 何も言えなかったあの子が言う それは暑い暑い夏の日 遠ざかる背中を見送った 透明な声が消えてく いつの間にか刺さっていた小さな トゲに 気付かないフリをした だってそうすればまた あなたの隣で笑っていられるから