魚は夢を見ていた 空高く飛んでみたい 胎児は夢を見ていた 幾星霜 螺旋の全てを 惰性で日常を泳ぐ 絡みつく還流に 疲れ果てた運び屋は 命の価値を量り損ねた 嗚呼 海から這い上がり 進化した身体は もう自由なはずなのに 翼が亡いのは どうして 空っぽのままだ 背負う物もないよ 風に流されてゆく "帆を畳め" 声に耳を貸す必要などなかった 漂うだけなら 見失ってしまう 世界に希釈されて薄れゆく前に 舵を取れ くるりくるり渦巻け 機械は夢を見ていた 人の心が知りたい 私は何を見ていた 目を背けていただけじゃないか 嗚呼 大地で貪って 退化した身体だ それすら覆し 人は何処へと向かうのか 私の螺旋が泣いている されども 涙が枯れるまで渦巻け 空っぽのままか 背負う物はないか 風に問い掛けている "帆を張れよ 今此処に居る貴方自身が船だろう" 行先は未来 積荷は要らない 名もなき目的地へと 白地図に記せ 己が手で くるりくるり渦巻け