指先 理路整然の模造品がほら、 揺れている 「あら、 綺麗な色で常に美しいわね」 「あら、 生ぬるい風が心地いいわね」 縷縷の毒 偽りを降らす牢よ 思えば意味などは 腐葉土の墓場にすらいない 錆び付いたネジ巻きで歌う鳥よ ハンカチの蝶々に求愛する 天窓の幻影よ 翼の折れた石像に準ずる世界は 腰掛け程度の豊かさになる 影に咲く理を欠いた街よ 与えられたものだけで描いた絵だ 今日の楽園の空は夢の中で見る夢 便箋の奥、鉄条網で纏めた花束 造花、その身を憂いて 楽団無き指揮者と 無機質な故、より生命を掲げる色彩 「あの花は悲しみの顔で」 「あの花は喜びの顔ね」 宛ら天使が落とした物語 私が溢した紅茶の心残り 今日の楽園の空は夢の中で見る夢 便箋の奥、鉄条網で纏めた花束 造花、その身を憂いて 楽団無き指揮者と 無機質な故、より生命を掲げる色彩 巡り巡る星たちの ファンファーレみたいに 種子を散らす踊り子たちの メリーゴーランドで 愛するも愛されるも不自然な場所で 貴方と呼ぶ存在なんて 必要ない場所で