拝啓、夢見る僕へ はじめに謝らなくちゃいけない 夢は叶いそうですが 暫く笑えていません どうか何事もなく 今日に句点が打てますように ドラマなんて求めてる 余裕ありません ああ どうしてまた誰かが消え… 拝啓、大人の僕へ 未来は何色で染まってますか 夢を叶え日常は 充実しているでしょう 脈が破裂するほど 己の全てを犠牲にして 地獄で苦しむ 人の希望となれるでしょう ああ でもこれじゃ夢とは言えない 呪いだ 何もかも足りない まわりはバケモノ 勝ち目ない 「夢が叶う」その先は解放じゃない 更に深い沼が続くようだ こんな筈じゃない あのね 僕はこんなにも夢を愛している なのに何故夢に 殺されそうになってるの? 抗えば抗うほど間違っていく 消えてく炎 鉄粉が染み込んだ左手 傷跡が消えない右手 全てわかった気でいた でも今は 何も分からないから動けずにいる 皆が遠くに見える 何を話しているのか聞こえない 僕だけが泥の味を知らない 雨音が響くのは この体が想像以上に空っぽだからだ もっと知らない世界へ 行くべきなんだ 恐れることない 所詮この世界は 一つの通過点に過ぎないんだから 諦めないことが正解なら 諦めることは間違いなのか いや諦めることも別解だ こんなとこで解なんて出ないさ この詩にだって 別解があるのかもしれない もしかしたらこの詩を書いている 僕自身が救われたいのかもね ここには何もない でも大丈夫、悔いはない しぶとくやることだけが取り 柄になっていった僕を今日で 捨ててやるんだ あのね もしも 僕が消えてしまったら みんな探しに来てくれるのかな 思い出だけで満足されちゃうかな あのね こんな垢だらけの世界で叫んでいる 夢なんか 比じゃないくらいドラマだろう 泥を噛みしめたやつだけに映る 使命の炎 あのね 僕が今愛しているのは夢じゃない 生まれ変わった夢だ そうして僕は少しずつ 僕に頷けるようになっていく 拝啓、夢見る僕へ 夢からは降りてしまいましたが これはこれで幸せです ゆっくり行こう ゆっくり行こう ゆっくり自分と 並走しよう