溶け出した色彩はもう戻らず 止め処なく蝕み続ける 祈る度あさましく息を吐く 何度も何度も 詰まりながら かじかんだ手にかすれる落葉樹 飲み込まれそうな鉛雲 崩れた外壁に腐れたバリケード 「未来に囚われている。 いつだって。」 あなたはそう言って 虚ろな眼球で 窓の外を見つめていた 遠ざかる声 問いかけ続けた 「どうか、どうか、行かないで。」 永遠は嘆く 走馬灯は今日も剥がれ落ちたまま 端からずっと退屈な物語だったんだ そうやって 無くしたいくつもの感情の束は 花瓶で枯れていた 切り付けられたみたいな皺をなぞる 涙は 窓から零れた 尚更未来を恨んだROPE 陰る空を仰いだ 何のために暮れるの? いつか終わる一秒のためだと その答えを遮った 飛び立った鳥と紅色の空 湖面越しの鏡の世界 手にしたもの 手にできなかったものを数える 冷めきった病室 構築する火薬 毒を吐いた点滴 脈管にまみれた体はまるで 送電等のようでさ 笑ってくれよ この茶番を 僕の生涯を 埃かぶった髪飾り 蹲った少年は いつだって泣いていた 心臓は動かないまま 帰りを待ちわびた さんざめく人 地に落ちた胡蝶 限界はもう過ぎ去った 春の訪れに紛れ立つ 愛すべき死の香り その部屋にはもう誰一人いなかった 夢のような白い庭 鮮やかすぎた命の儚さ 花も空もそこにはなかったんだ 汚れたカーペット 木製のマグカップ とりとめのない物語 皆笑っていられたとしたら そうなら僕は要らないな 永遠は嘆く 走馬灯をずっと眺めたいのに それなのにどうして あの天使は連れ去っていくのか いつだって招いた 幸福に届かないまま 手を振り告げた最期 鎖で繋がれたって幸せを願われ 吐いた血反吐は誘う HEAVENへの最終電車 大空を手放した鳥は何処へも 行けない 大地は急かす命の火は もう埋めたって消さないで