まどろみの ふよん と 記憶が落ちる ふよん が 今日も 重なる 清潔なベッドの深海で 祖母の息遣いが響く 僕は波打ち際に触れた エコー音の代わりに 大きめの肉声で呼びかける やおら目が開くが 答えのあぶくは返ってこなかった それからまた ふよん に 戻る あぁそうか おばあちゃん あなたは海月になったのか 重たい人間の体から 少しでも離れるために ならば、私は 泣き虫なまま傘になろう ほんの一瞬でも あなたの瞳が 暖かな色になるように そして、いつか朽ち果てたなら 共に水底を泳ごう ふよんふよんのまま ふわんふわん 漂って 微睡むままに 微睡むままに