鉛の翼

歌詞

名前のついた 四角い箱が 誰かの記憶にパズルみたいに積み 重なる 白い壁に音が響くたび わたしの存在も少し歪む 透明な夢を 点滴する 眠れぬ夜をループする コードの先に揺れる未来 まるで誰かのコピーみたい 「大丈夫?」の声だけが やけにリアルで それ以外は全部 水彩絵の具みたいに滲んでた 鉛の翼で飛べやしない でも空を忘れられなかった ただ 消えたかった けど 消えきれなかった 薄れる記憶の雨に濡れて 静かに溶けた 日々の破片 テレビが映す他人のドラマ わたしの痛みじゃ再生できない 「明日は晴れです」って言うけど この部屋に空は存在しない 繋がれた管が息をする 言葉より先に命が動く ぼーっと見つめて瞬きを忘れ 時間だけが体をぬける カーテン越しの昼と夜 線を引くたびに孤独を知る 気づかれぬように泣くコツも 少しずつ うまくなってた 鉛の翼で さけべやしない でも声を捨てきれなかった ただ 消えたかった でも 見つけたかった 薄れる記憶に名前をつけて そっと紡いだ わたしの存在 夢と現が交差する臨界の砦で 「ありがとう」と「ごめんね」が ずっと喉でぶら下がってる ひとりきりじゃないって言葉ほど ひとりを強く突きつけるものはない でも、誰かの涙を想像して 今日もまた、ここにいる 鉛の翼でも 描ける空がある それは誰にも奪えない記憶 ただ 消えたかった でも 生きたかった この箱の中で見つけたもの パズルの最後の かけらは たしかな形をしてた 白い天井 流れる秒針 音もなく 時がほどける 消えたかった 消えたかった でも今は …まだここにいる