耳に押しあてた 電話の向こうで どこか寂しげにうるんだ きみの声がする ぼくだと気づいて きみは声を呑み 他人行儀なあいさつで 黙ってしまう きみと別れてぼくは 自由になれたと 思いちがいをしてたよ きみなしでは何ひとつ 出来はしないくせに 何か言ってくれこみ上げてしまう きみはあれから幸せか 泣いてはいないか...... 季節がいくつもこの部屋の中を 気の毒そうにのぞき込み 通り過ぎてゆく 戻っておいでとこの電話口で ささやきかけたら きみは 迷惑だろうか きみと別れてぼくは 若さにまかせて がむしゃらに走ったよ きみのいない寂しさを 埋ずめられないままに 何か言ってくれこみ上げてしまう きみはあれから幸せか 泣いてはいないか........