置いてきたレンズ その奥 夏が過ぎていく 呼びかけたまま 遠のく 患う身で知り得る 真っ白けの朝 もう全部 罰は過ぎていく 振り出しに戻る どう足掻く 夏が過ぎていく 弾幕 間奏 人熱れの海に 話がないから俯いている 万博から乗る 酷く綺麗に洗う 俺は雑踏で洗われる あれは7月10日 歩道橋は日記みたいに 雨が捲れていく 思い出してもいいけど 決して浸されないでくれ 酸素ボンベの様な夕景 配管 露壁 さざ波さ オレンジの最後然り滲むけど 最高速度が二人を匿う 彼は左腕に天国を打ち続けて 世界の構成を叫んでも 何も変わりはしないのに まだ繋いでいたかった 笑っていた 飲み干しては 何もかもが遅過ぎたのか 暮れなずんでは目覚めていく 色の無い地平を見たけど 難しくて剥がれて見えた 懐かしんだり気取ったりした 晴れた空が青くなかった 前の夏の陽炎に 足を取られたみたいに動かない 怠惰は何も肯定しなかっただろ そろそろ間に合うように行け 終わりなき日常を終えた その顔を覚えているか 注ぎ口を覗けば確かに あなたが笑うのが見えるのだ 映していた 飲み干しては 浸される前に 何度でも早く過ぎていく