甘い悲劇は朧夢 あの子が欲しい あの子が欲しい あの子以外なら要らぬ 腐臭撒き散らす下衆を飼い慣らす 肉に捧ぐ花の蜜 先行きを憂い溜息一つ 逃げた幸の代わりにと 纏ったのは紫煙の羽衣 天に召す心地 花の春 身を委ねましょう 溶けて行きましょう 立ち上がれなくなる程 ゆらゆらと揺れるその様は宛ら 彼岸と此岸 あの子は要らぬ あの子は要らぬ あの子以外なら欲しい 腐臭撒き散らす下衆を飼い慣らす 肉の戯言は遥か彼方 独法師の宴も酣 桃色の夜 ぬるり…粘ついて指の間で糸を引く 磔の夢を嗤う此処は見世物小屋か? 「おいでなんし」と手を招く 渇き切った現を濡らす 今宵、桜を散らす雨の音 しとしとを歌う まだ少し冷えるけれど慕情には 心地良い ほろり…頬を濡らす心の音 しとしとが憂う 指先が覚えている温もりの残り香 傘に隠れて重なる影絵 秘め事に恥じらう月 雲に隠れて綯交ぜの影絵 跡形も無く消えた あの夜は憧れていた 甘ったるい桃源郷? 焼かれ焦がれた脳と腕が煙管を求め 這いずり回る 理性を散らす飴の音 どろどろを歌う まだ少し震えるけれど慕情には 心地良い ふらり…奈落を乞う心の音 どろどろが誘う 指先が覚えている温もりの残り香 らったった… さぁ、歌いましょう 手拍子合わせ大喝采 らったった… さぁ、歌いましょう 壊れた果てに大喝采 らったった… 独り善がりの宴も酣 紫の夜 霞一枚の彼方と此方でお戯れ 磔の現を嗤う此処は見世物小屋か? 「さようなら」と背を向けた 水浸しの夢に溺れて死にたい 桜一片ひらり 私を散らす雨の音 しくしくと歌う まだ少し早いけれど墓標には 心地良い それは白痴装う心の音 しくしくと嘆く 指先が覚えている温もりの残り香 雨は洗い流す 優しい歌声に乗せて らったった… 甘い悲劇は朧夢