私はこの世界のだれよりも、 綺麗だってことは この世界が出来た時からは 明白なのだ。 私の甘い声、甘い香り、 そのすべてに引き寄せられた あの煩わしいコバエたちには酷く 憤慨している だって 私はあんなコバエたちには 興味がない。 もっと私の養分になる人が欲しい。 私の中にそれを取り込んで、 もう二度と 私以外に目移りしないように 私の中の甘い甘い空間に閉じ 込めておきたい。 だって、私はハエトリソウだから。 しかしどんなに誘惑しても貴方は 此方に気づかずに 小汚いハエどもが私に集ってくる。 そんなものなんてどうでもいい。 私にとっては毒でしかない。 ほら、 怖がらないでこっちに来なさい。 私はそうやって手招きを続けた。 ほら、甘いお菓子もあるから。 衣食住、全て保証してあげるから。 貴方の命は永遠になるから。 此処は 貴方にとっての楽園になるから。 貴方と一緒になれたら、 私は他の何一つも 欲しがりはしないから。 え?もっと清楚に咲いてほしい? そんな、 あなたが望むのなら 今後はそうしますから。 ゆっくりと取り込んで 一つになりましょう? 私は死なども恐れない。 嘘みたいだって? えぇ、嘘かもしれない。 けど、 それは貴方にとっては 嘘にはならないわ。 さぁ、目を瞑って。 私の罠は貴方しか 見えていないから。