夕方の列車には二人だけで すやすやと眠る君、僕の肩で 魔法が使えたのならば 猛毒を飲み込んで、 この瞬間で終えるよ。 夢の彩度みたいな午後 ありそうでなかった唯一の日だ。 君の背後から漏れる この夕日に焦がれ、君を想うのだ。 晴れの日はベランダでお茶会でも。 春詰みのダージリンを光に注いで。 逸れていたね。 君の心臓の音に乗せて 僕は詩を書いているよ。 夢の最後みたいなもの。 思い返して、返しても滲むだけだ。 雲の合間から漏れる この夕日に打たれ、 日々を呪うのだ。 ときに孤独は時の輪郭を 鮮明にする。 失ったとき、痛くなるときに、 全て奇跡だったと 再び定義できるのだ。 君の考えてることが わからなくて 君を泣かすことも、 逆のホームまで君を 見送ること、 もう二度とはないから。 昼の改札は、君が手を振る。