「7月20日。 時刻はえーっと、あ、3時50分。 何で録ってるかっていうと、 特に理由はなくて。 まあ、日記みたいな感じ。 毎日ってわけじゃないけど、 今日はそういう気分ってだけ。」 「暑っつー。頭ぼーっとする。 なんか、 全部面倒くさくなる時ってあるで しょ? 家に帰るのも違くてさ。」 鍵のかかった屋上 4時半の駅前 正しさを欠いた言葉の列を 正の字を書いたバス停 夏の匂いがした 巻き戻す声は天使のような 光差す頬に一糸の涙 既視体験みたいだった いつか見た夢の続きか? 不安さえ愛すことができるか? 肌の下巡る数秒前の 息をしていたのは確か 夕陽を隠すビルの連続 窓の外行き交う風は静か イヤホン絡まる溜息一つ 信号によく捕まるみたいだ 知らない街、見たことないもの 帰り道なんて忘れてしまおう 瞼に描く白玉のチェロ 「進路希望の紙配られてさ。 お母さんにサイン貰わなきゃ。 明日すらわかんないのにさ、 いきなりこんなの書けっこないよ。 近くの所でいいよね。 みんなもそうだし。 やりたい 事があるわけじゃないし......。 ××みたいに 夢があったらいいんだけど。」 泣き腫らすそれは藍を映した 言葉さえいらぬ必死の問は 36℃弱の一番星手を伸ばした 受け入れることで何が変わるか 裏返し詰めた寝息とローファー 思いの朽ちるかどうか 踊れ夜光虫 弾く波にからまったまま 風を見ている 星屑を一つ頬招いて それだけで 巻き戻す声は天使のような 光差す頬に一糸の涙 既視体験みたいだった いつか見た夢の続きか? 不安さえ愛すことができるか? 肌の下巡る数秒前の 息をしていたのは確か 生き急いでいたのは私か?