参加賞止まりの日常はもう飽々した 「これくらいが自分らしい。」とか 何一つもわかりはしないわ ガラスと赤い色 ただ静かにそれを見ていた 「誰一人も悪くない。」とか そんな顔で口にしないでよ 一番長い夏 立ち漕ぎとほつれた靴下 頬照らした夕陽の微熱が消えない 消せない 優しさなんて下手くそな嘘で 庇うほど 心の奥で茹だるような濁る思いを 息を切らして歌うだけじゃ 晴れやしないぜ その日暮らしの言葉を捨てて 全部をくれよ 何とはなしの理想 甲斐性なく小石を蹴った まだ絵に描く「大人」みたいに 何一つもなれやしないわ 練り歩く目が嫌い 見透かされているような気がした 「夢見がち」でいられなかった 言い訳はもうやめにしようか 一秒深い呼吸 街並みを外れ汗ばんだ まだ胸にあの日の記憶が消えない 消せない 正しさなんて 口だけの他人に目隠しを 言葉足らずが痛いよな 今も昔も 耳を塞いで逃げ 出したいほどに満たしていた あの蜩の歌声を返してくれよ 花を枯らしても尚美しく在りたいと 足掻こう 擦り傷残した膝が妙に誇らしく 笑ってようと 肌を焦がした歌をもう 随分聴かなくなった 今も瞼の裏を溢れるよう 眩しくなって目を逸らしたのは 無意識の 使い古した筆先を滴る鈍色 「大人になって胸を張って 生きていこうぜ。」 あんたに言ってんだよ 優しさなんて下手くそな嘘で 庇うほど 心の奥で茹だるような濁る思いを 息を切らして歌うだけじゃ 晴れやしないぜ その日暮らしの言葉を捨てて 全部をくれよ