「こみ合へる電車の隅に ちぢこまる ゆふべゆふべの我のいとしさ」 私だけの言葉で世界を創る 借り物のハコの中に小さな楽園を 空と雲の狭間。 誰からも気づかれない 青色と赤色の間 太陽の様子を伺いながら 私の合図で時間を操る 暗い密室の隅から隅へ 月との交渉はもう済んで 今日は一つの光もない 歌い亡き仲間たちを弔う 今日という日を永遠に続けられたら この楽園も壊れないのに でも雲は途切れ 無常な太陽が顔を出すので また私はその空間を裏切り 次の場所へ 羽を移す 山の向こうで 一匹の鵲が 酒に酔いながら そんな歌をうたっていた 「こそこその話がやがて高くなり ピストル鳴りて 人生終る」