天に吊るされたキツネの手袋 小さい体で小蔭にそっと咲いている あなたが好きだと言った赤紫の蕾 気づけば一緒に好きになっていた ひとり寂しそうなキツネの手袋 ずっと一緒にいようって 誓ったはずなのに どんなに呼んでもあなたはいない 雲ひとつ無い空に大粒の雨が降る 笑っていて欲しいそう 云っていたから 崩れた膝を抱え今だけは止まないで この姿が誰にも見えないように 愛されたいと願っていても もう叶うことはなくて その温もり声も何もかも刻み 込みたいの ただあなたのために生きたい ただそれだけなのに 水面に揺れる 水無月の恋春日(こはるび) 雨に濡れ凍えるキツネの手袋 あなたがくれた鈴の音がそっと鳴り 響く もう泣かないでと…愛しい声が 聞こえた ふたりの写真を優しい光が照らす さっきまでが嘘みたいな綺麗な空 まだ笑うことは難しいけれど涙を 拭い 落ちないように空を見上げた 逢いたいと想う気持ちは もう届くことはなくて その八重歯に頬に少しでも 触れたいの ただあなたの側にいたい ただそれだけなのに 月夜が照らす 水無月の恋春日(こはるび) ただあなたのために生きたい ただそれだけなのに 水面に揺れる 水無月の恋春日(こはるび)