わたしの先入観のルールには ひとつひとつ、 あなたのサインが書いてて 時々思い出さなくていい時に その線をなぞってみるの。 綺麗だった。 鰭みたいな あなたの筆先の アイデンティティを、 全部ちょうだい? 綺麗だった。 ずっと、綺麗だった。 ねぇ、どう? 私の前日譚のヒーローなら、 仮面をゴミ処理場の裏に捨てたわ。 今頃、ハイタッチで茶濁して アレルギーが出るような声で 笑うんでしょう。 「僕ら奪って、泣いて、 何になんだろう。 印を付け合って、妬んで、 何を待ってたの? 日々を破く程、強く線を引いた。」 綺麗だった。 あなたの先入観のルールには、 今でも わたしのサインがまだありますか? なんで、なんで、繰り返すだろう。 縋るように綴っても 知らない言葉だから。 もう、意味がないや。 でも、綺麗だった。 鰭みたいな あなたの筆先のアイデンティティを 全部ちょうだい! 綺麗だった。 ずっと、綺麗だった。 「でも、まだ僕ら奪って、歪んで、 何になんだろう。 印を付け合って、妬んで、 未来はないでしょう。 それでもまた奪って、歪んで、 滲んだ文字でも。 虚しいほど、綺麗だった。 ただ、綺麗だった。」