その日は午後 暗室でアシッドにむせ 夕方 白い箱で エタノールを吸い込み よろめく ベッドに吊るされ 形作られた 石膏の足の対岸 紺のブレザーがうなずく 彼らと僕らを 懸け隔てるものは 姿かたち持たぬ 教えの壁だった 静脈 裏路地 白いコンバースで蹴る 僕らはひとり 飛行船の雲に考える 砂を飲む湖に 街が伸び 一匹のマラードは 家を探す 信じる悲しみ 失う喜び 姿は移ろうが 壊すことはできない コラールの ぬくもりの外 君らはリノリウムに 熱を奪われていく 彼女はうつむき ギプスに落書き 飾らぬショートヘアが ひざの上 無造作に流れる 君らと僕らを 懸け隔てるものは 砂の城が見せる 濁流の幻影 動脈 町筋 ドクターが舐める 僕ら ひとつ満たされ 陰鬱に暮れる