高い空まで鳥をさらった 風は遥かな西の果てまで 赤い砂漠においてけぼりの わたしを抜けて 夕暮れに染まる空の端、白い月 なぜか遠くで待つようなちぎれ雲 燃えるような輝きの耳飾り それは誰かのための祈りの色 また風が遠く向こうへ一筋流れたら なぜか幽けて思い出すような 面影はどこか優しくそよいで 鮮やかな夢の合間に 星の澄む場所へ 街を囲った黒い帳を 月が静かに覗き込む夜 白い指先、永劫の折 御心のまま飲み干した鉢 洗礼は恒星に則って 宵闇に油の香がした 絢爛な千の花を模した扉がひらく 祝祭は音楽にのせて 精霊は炎と踊った 喧騒は天幕を越えて 朝に届くまで 待っていた また風が遠く向こうへ一筋流れたら なぜか幽けて思い出すような 面影はどこか優しくそよいで 鮮やかな夢の合間に 振り返るたび どうか、例えば真夜中密やかに 愛や祈りを囁くように 赤石に強く願った懐いをなぞるたび 風は遥かな星の澄む場所へ また、白い月がただ眺めていた