透き通った目の前の足跡を 見落とさぬように蒔く種も実らない あなたと囲んだ灯火は 二人の息遣いで消えてゆく すぐ側で伸びた影が過ぎて 行くのをなぞって 目を閉じて眠ってしまえば 何もなかったみたいだね さっきまでは分かっていた足跡は 見えなくなって 分からなかった自分の歩幅が少し 見えた気がしたのです ここから見える 丘に着けばまたその手を取れるか 約束も口実ももう 残ってはないけれど あれは夏の後、 石で水を切るあなたの瞳 その光は今、 何を照らしているんだろう 静かに煙は遠ざかっていく それを背に二人は明日へと向かう 部屋の隅 枯れた花 僕は眺めて思っていたんだ 生きてく為には水だけじゃ またいつかね あの丘で会えたら 二人だけの名前を付けよう