一番綺麗な 瞬間だけ看取った 秒針は空を 音もたてず睨んでいる 翅を広げたまま 飛び立つことは二度と 許されない 軋む手足 隔てられた透明な庭で 羨望 侮蔑 称賛 そのどれもが馬鹿らしかった 消費相手をピン留めして 支配欲を満たしたいだけの有象無象 踏み散らして 遮断して 縁取って 変わり果ててやりたい 失望させたい 無抵抗なまま出来る 唯一の抵抗だった 無価値になることこそ自由だった 対象として 名づけられた日から 黄ばんだ文字に 可能性は消え失せた 焦げつく朝の陽が 何回窓を叩けば 許されるの 色褪せるよ 薄汚れた四角い箱で 翅を広げたまま 飛び立つことは二度と 許されない 軋む手足 隔てられた透明な庭で