埃だらけの鞄で見つけた 孵化したみたいな橙色の球は 伝家の鈍刀 漆黒のアルティメット無得点サーブ 目指すは温泉で無双!って謳う 部は最弱シティ至上最弱 ラバーの粒という粒が 豚のパールの体で輝いてた 無駄話がワンバウンド、 ツーバウンド 隣のバトンのエチュードが 最早耳に胼胝越えて五十日の秋口に 指導者不在のギャラリーから 吹き抜けの青天井が見えたあの頃 我が強い故にこそ人の目を気にした 図書室で本を選ぶのも憚った シコウを知られるのがそのまま 自分そのものの値踏みに思えてさ 総当たりシングルスの対話じゃ ぞんざいなユニフォームを 脱ぎ合えた 嫌い嫌われ飽いた俺にはまず 好きの岸辺の無関心も心地良かった 無駄話がワンバウンド、 ツーバウンド 嘴太烏にメンチ切り返す マキシシングルの畑地を下る 夕焼けに 繋がらなかったラリーとか 謝れなかったエッジボールとか 戻らん事を 非推奨に冷やした麦茶の氷柱宜しく ちびちびと、ちびちびと飲み込んで 人間を知った 無駄が成った資産まで 無駄やなんて言わすかいな 埃だらけの鞄で見つけた プリントの切れ端の身内ネタ 生産者の顔は確か 丁度あんたそっくりの少年やな そんな便りを送ったらなんか 未だ続くこのラリーに笑えてさ 集団と孤独の間 接続のプレーイングサーフェスから 始まった紐帯が切っても 切れないから 無駄話がワンバウンド、 ツーバウンド 形而上から降る嘲笑が 最早耳に胼胝越えて五十日の俗世に ウェストミンスターのヘ長調が 鳴り響いて巻き肩を正すこの頃