まだ間に合うだろうか 踏切前で立ち止まっていた 吐く息はまだ白いままだった 君が忘れていった言葉 返したくて必死だった 巻いたマフラー 君の匂いが残っていた 触れると凍ってしまうような 心の温度に気づいてた 君を解かしてくれるのは 僕じゃない事くらい 変わらずにずっとこの日々が 流れていく事を望んでいた 好きだったのは君じゃなくて 君との生活だった ごめんね、なんて 聞きたくなかったよ 会いたい、なんて 僕はもう言わないし どうして言ってくれなかったの? さよなら、さよなら 霜焼けたワンルームのテーブル くるまったコンドームとアルバム 思い出に浸る君は泣いている 後ろから君を抱きしめた 朝焼けが君を何処かへ連れていく 眠ったふりの僕にかけた毛布と 最後のセリフ 終わってしまったようで 終わっていなかったんだ 忘れていった一言を 今、返しにいくよ ごめんね、なんて 言いたくなかったよ 会いたい人は 僕なんかじゃないのに 幸せになって僕を忘れて さよなら 笑って手を振ればよかったよ 泪が頬を伝うばかりで どうして聞こえてしまうんだろう さよなら さよなら 君を連れていく春の音