差し出して鈍くなった想いが 触らないで腫れていった いつしか 海が元に戻っていく 水晶体の邪魔をしている 魔法はもうとけるはずだよ、と 君を憶えている 浮かんでは淡くなる言葉 曝け出した肌色を抱く 光を浴びる 柔らかさが 変わらなさが 滲んでいく時に もう一人でいたいの 微風 へし折って逆さにした 棘のまま 持ち歩いている 夜が窓を登っている 染色体を作り替えている 途中で くたびれた細やかさ 君を想い出す 見上げたら嫌になる夜空 哀しさや! 灰色のまま 少し笑う この澱みが暖かさが いつかを満たす様に これでさよなら 海を渡る 鳥の群れが雲の皮膚が 朝に色づく時に もうここにはいない 君を想う 変わらぬまま ただそのまま 靄が晴れていく様に もう一人でいられそう 微風