少し早めの いつもの帰り道で 私は言った「まだ思い出せないの」 カラスが鳴いたら 人が死ぬって聞いた 私は言った 「そんなの迷信だよ」 誰もが何度も 同じことを繰り返すの 「また明日」そんな儚い約束は 黒い渦に飲み込まれ消えてく 日が沈む少し前に 石階段をのぼって 私のこと忘れてる あなたに会いに行く途中 逃げ水が浮かび上がり 必死に追いかけてたら あなたのこと忘れてた この空の色は 何色って言うのかなあ ぬるい風が心地よくて どうでもいいや 「覚えてるよ」 そんな拙い愛情も 少し遅めの いつもの帰り道で 私は言った