暗い部屋の隅でさめざめと 泣いている 浅ましい男の高い声が 哀れに途切れた夜 固まった黒い血がぱりぱりと音を 立てて 腫れた瞼を持ち上げると鋭い瞳が 見降ろしていた その眼は苛立ちを 堪えたようなものでなく どこか懐かしいまなざしで 震えるその体を抱き上げた それが真実であり 悪人などどこにも居なくて ただ息をしてるだけ 思うように行かなさすぎた 人間の成れの果てが そこに2人 暗い部屋の隅でさめざめと 泣いている 美しい男の高い声が悲しく途切れた 夜に 冷め切って動かない太陽を月が 見降ろしている 天使のような悪魔のような 温もりだけに意味がある 流れた赤い血がまだ少し 温ぬくいように 今だけは痛みを忘れて違っても同じ 夢を見たい それが真実であり 悪人などどこにも居なくて。 ただ夢を見ているだけ。 思うように行かなさすぎた 人間の成れの果てが そこに2人。 暗い部屋の隅でさめざめと 泣いている 浅ましい男の高い声が 哀れに途切れた夜に 溶け始めた淡い夢を食はむ 冷めた手足を投げる 憎まれ口を叩く暇も無くゆっくりと 痺れていく もがく男の肢体が垂れる様を 月が見降ろしていた