Track by鎌野愛
這う言葉と 霧立つ青 飲み込む鉛と 朽ちていく図形 触れた 傷をなぞって 雲と光の狭間で 焼けた苔の匂いが 皮膚を赤く塗りつぶす 寝言を盗み出した鳥 短い記憶の扉を掴み叫んだ 一度だけ 君の前で 傾く絵画 裂けた時計 誰にも気付かれずに 心の声消えていく 傷跡だけ残して 触れた 記号なぞって 黒と光の狭間から 小鳥の群れが 染めていく空っぽの劇場 消える 景色をつなぐ 子どもの笑い声のほうへ 熱帯びる手に 溶けていく この 記憶の海