白い壁 無数の光が映す 見たことのない景色を 歩きながら後ろ手を組んで 「この先も楽しみだね」と 唇を滑り落ちた 呆れるほど明るい言葉に触れて 手探りで解きほどいた 温もりを覚えてる? 週末に買ったチケットの傍で 重たい荷物を結ぶ姿が 終幕に向かった映画でうたた寝 していた日に見えた あの日見た銀幕の向こうへ あなたと行けたら 唇を滑り落ちた 呆れるほど明るい嘘を見抜かれて 手探りで口ずさんだ 鼻歌を覚えてる? あのとき見開いた目が 結んだ像が焼き付いて 消えてくれない あと何度呼吸できるだろう 過ぎゆく窓の影を忘れないで あの日見た銀幕の向こうへ 私をいつか連れて行って 終幕を終えた映画の傍で 眠たい体を引き摺りながら 週末に買ったチケットの片割れを 今も探している