止まない雨足を 凌ぐように話をして 指先から灰を落とした 答えが途絶えたあと あなたは目の前にいるのに また一人になった 見慣れた街が歪む 揺れている炎と横で眠る顔が 急に懐かしくなった 遠のいていく熱が霞んでしまう前に もう一度だけ話をさせて 燻った思い出をぼんやり 掴んだり咽せてみたり 寄り道をして 綺麗と憂いていた 夕日に手を伸ばした 形のまま私に触れて ここが現なのかなんて あやふやなままにして 揺れている炎と横で眠る顔が 急に懐かしくなった 煙が目に沁みて夢からさめる前に もう一度だけ私を撫でて 「選んだ空で羽を広げておいで」 柔らかな言葉をくれた声に いつかまた会う日まで 揺れている炎と横で眠る顔が 急に懐かしくなった 遠のいていく灰がこの手に戻るなら もう一度だけ話をさせて