「無駄な事なんてないよ」 励ましに聞こえないよ 暇じゃないくせに暇になる ラッシュアワーに 目的を持つお兄さん 座席すら譲れないか 心身健康そうに見えていたもので 言い訳がましい俺を叱るように 雨が降り出していた 無駄な事だってあるよ 励ましもその類か 相も変わらず項垂れた首を捻った 騒がしく遅延車内で 珍しくもない喧嘩 譲れないものが 互いにあるのだろうか 望めば望むだけ 落胆は大きくなる これは諦めかな ポンコツな俺が 行く宛てを探して 見つけた景色を 「無駄」と呼んだ こんなに哀しく 虚しい季節に どれだけの人が 息絶えるだろう がむしゃらに生きてこうと やる気に比例するように 自分でどうにかなる限界に気づいた その代わりと言えるかな 頼れた人が救いだ 今も大切な言葉を一つ貰った 無駄にしないだけの 成果が今はないけど いつかいつかはさ 器用にこなせなくても 周りに馴染めなくても ただもがき葛藤し生きていくのは 滑稽なんだろうか 人口は八十億目前らしいが 街で見る数百人が 世界の全てで僕の世界で 少し卑屈になった事 情けなくもそれが零れた事 無駄じゃない今日 また数百人の群れを横切った ふと気づいた駅は 見慣れない場所だ どうやら俺は眠っていたんだな 降りてゆく人を 薄目で覗いて あの頃の事を思い出してた ポンコツな俺が 返すべき君に 届けたい景色は 無駄じゃないかな こんなに愛しく 美しい季節に どれだけの人が 救われるだろう