駅前で向かい合う 泣きそうに笑う君 独りでに浮かぶ影 瞬きも忘れていた ゆら ゆらめかす 背中姿 枯れた言葉さえ 抱きしめたまま 大きな坂道の その向こうの光に手を伸ばす 聞こえるかな 今日の木枯らしが明日へ伝って あの街の澄みわたった気配 指を交わす いつかまたね それぞれの冬が二人を待つ 空風 時々雨 離れ離れ 触れる機微 虹の知らせ 架ける 空々しい馴染みの背中 (いろ)きらめきが 温かいのに 立ち枯れたままだ 歌 あっても 宙を舞うままか 大きな坂道の その向こうの光に背を向ける 《風の花》が香る 木枯らしと明日を歌えば あの街に伝わるから、 と心溶けてゆく いつかまたね それぞれの春が二人を待つ