日暮れの雨が 夜更けには みぞれにかわる さむい春 いつもは陽気な 酒場のすみで たまには無口で いるのもいいさ 優しい昔の 女のことなんか 思い出すには もってこいだぜ 優しい気分 だきしめて 女の行方 きいてみる あれから五年も 流れたあとで そいつは遅いと だれかが笑う 不幸な暮しをしてなきゃいいのさと 口に出さずに 酔ってぬくもる みぞれの音も いつかやみ おもては春の ぼたん雪 かえらぬ季節に よろけて帰る 男の足跡 わるくはないさ 今から人生始める気はないが せめて今夜は ひとり帰ろう