静かに揺れる 影のなか 誰にも見えない 祈りだけを モノクロームの花束 言葉の代わりに 渡せなかった「ありがとう」 を結んだ 光も色もない 最後の贈り物 あなたの手に触れず そっと胸に咲いた 窓の向こうは曇り空 いつもより静かな交差点 時計の針が やけに正確に “さよなら”の意味を刻んでる 選べなかった言葉が 指先に残ってる 抱きしめられなかった夜の中 ただ息を止めていた モノクロームの花束 色づくことはなく 笑顔の奥で枯れていった 「ごめんね」 咲かせたのは後悔と祈り 伝わらないとわかっていたけど あの日 交わした約束は 季節とともに破れたけれど 一輪だけ残った真白な想い 誰にも踏まれない場所へ モノクロームの花束 いまもこの胸で 名前もないまま咲き続けている ありがとうを言えなかった日々が わたしをそっと やさしく責めている いつかあなたが ふと振り返るとき その手に 白い記憶が残りますように